宝塚に恋をして

私が恋した宝塚について徒然に。。

「蒼穹の昴」大劇場新人公演を観てきた話 ~波線上7人について~

本当に本当に全員が大健闘の素晴らしい新人公演でした。

新人公演は当然、本公演より様々な面で拙いけれどその足りなさを補って余りあるほどの若いエネルギーでそれぞれの役へ全力でぶつかってゆくので、本公演とはまた違う感動や満足感がある公演だなと思う。 そして、作品によってはその青さや若さ作品とうまく融合して相乗効果となるのだけれど思いのほかこの「蒼穹の昴」はそれが映える作品で新人公演と相性が良い作品だった。

全員に言及したいのはやまやまだけれど、まず波線上のメンバーについて。

 

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【文秀_華世】

彩風さんも華世くんも声が高めなのでその点では無理なくできるだろうなと思っていたけれど、ここまで似るのかと驚いた。声質違うのに。

彼女は最初(CHの新公)から本役を踏襲した上で自分なりの役作りをしていて、本役の模写(これを否定している訳ではなく)となることがなかったんだけれど、憧れている人だからなのかだからこそ解釈が一致したのか、時折声のトーンや台詞回しがまんま咲ちゃんという瞬間が何度かあって驚いた。声質が似ていると思ったことはなかったんだけど歌も似ているところがあった。

彼女は最初からスターで、スターであることに疑いの余地がないのでこの初主演も研3なのに全く時期尚早という感じがなかった。

実際、観客が手に汗握るような場面は全くなくて真ん中いることの違和感のなさと安定感にあらためて稀有なスターであることを確信させるすごさがあった。。

彩風さんの文秀よりも若くて青臭さがあって、誰かを説得しようと必死になっている姿が印象的だった。 胡同で春児と言い争うところや、順桂との対峙の場面での一本気で懸命な感じがすごく心に残って、新公で初めて文秀はこんなにも人と言い争っていたんだということに気が付いた。

そして、文秀という人間の至らないというか人間臭い部分を初めて感じて。トップさんが演じるとその存在感やカリスマ性で見落としがちな部分が浮かび上がってきたように感じた。これは新公の面白さ醍醐味だな。

文秀の人としてまだ青さの残る部分が軸となり、この新人公演というTHE青春な公演の性質と上手く融合できたのも良かったんだろうな。

歌が少し不安定かなとかなくはなかったけれど、あまり気にならない程度で総合力の高さをひたすら感じた。皆が憧れるようなバランスの取れたまあるい人だなって。

だから、この演目で新公初主演なのは大正解だと思ったしさせたくなるのもわかる。すごく合っていた。

 

【春児_一禾】

きっと全く問題ないんだろうなと思っていたけれど、何の不安もなく彼女の春児を見せてくれた。

胡同で文秀と道を違えてしまう場面で本役よりも幼く作っていたのは、新公の文秀が本役よりも若かったからバランスを取ったんだろうな。

ジャンプに出てきそうな少年感の強い、冒険に出かけて行きそうなきっと何が起きてもへこたれない太い強さを感じる春児だった。

 

【玲玲_音彩】

まいちゃんが可愛いことは誰でも知っていることだけれど、やっぱり可愛かった。そして声が美しいヒロイン声なのは本当に耳心地良い。

玲玲の銀橋ソングで入りの部分は幼さと純真さがあらわれていたんだけど、「地平の彼方を~♪」のフレーズからうちに秘めた強い熱さが歌声に乗せて広がってきて胸に響いて思わず泣きそうになってしまった。

歌が上手いのもODYSSEYで周知されたけど、気持ちを歌に乗せるのも上手いんだな。

彼女はお姫様系娘役はではなく、戦う系娘役なのであのフランス人形のような外見をしているのに民衆がハマる。そういう意味でも熱い想いを胸に秘めた自分の人生は自ら掴んでいく強さを秘めた玲玲だった。

 

李鴻章_咲城】

彼女の今までをあまり知らないのだけど‥声や立ち姿からまんまかちゃ?と思うくらい似ていて驚いた。かちゃの声って特徴的だと思うんだけど真似られるんだ。

この前はこっちゃんの青年の役だったけれど、こういったお役の方が合うのかしらと感じた。イケオジめちゃくちゃかっこよかったです。

 

【順桂_紀城】

今までは本役さんを完コピしてきた印象だったけれど、今回は技術面を考えても無理だろうからどう作ってくるんだろうと不安と楽しみ半々でいたんだけど彼女なりの順桂を作り上げてきていて、相当高く感じたハードルを軽々飛び越えた姿に頼もしさを感じた。そらぴの順桂を踏襲しつつも彼女なりに解釈をした順桂像が見えたのは個人的に大きな収穫だったように感じた。

 

【光緒帝_聖海】

原作を読んだ時にイメージした優しく賢い青年皇帝のイメージままだった。少し小柄なこともあり原作にあった乾隆帝のマンパオがブカブカというエピもすごくしっくりきた。

思わず庇護したくなる優しさの滲む皇帝で、西太后が愛するのも皆が彼のためにと働くのも納得のいく皇帝だったな。個人的にすごく好みな光緒帝でした。

 

【ミセスチャン_愛陽】

毎回本役とは違うアプローチで役を作ってるなと感じる役者さん。今回もみちちゃんのミセスチャンで妖艶で謎感が強めで良かった。

載沢殿下とのやり取りが同期同士で遠慮がなかったこともあってかすごく愉快で楽しくて良かったな。やってるほうも楽しそうだった。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

今回、本当に全体的に良かったけれど傑出した出来だったのは主演の華世くんだと思う。

全てのタカラジェンヌは宝だということは前提として、やっぱり素晴らしいトップさんの誕生というのはその後の宝塚の集客や知名度等を左右する存在なので、宝塚の一ファンとして感じたのは華世京は雪組のみならず宝塚の宝だということ。

研3で初主演なのに良い意味で初主演らしさが舞台からは感じられず、安定感すらあったところだけでも大器だし(珠城さんもそんなだったな‥スカピン主演時)、出来上がっている感はあるのに無限の伸びしろを感じるのは今後、男役としてどう成長していくだろうわくわくするし、一方で人懐っこい子犬のような愛らしさと一生懸命さはつい応援したくなる人としての魅力を備えているなって感心するので、良いところが潰れずにすくすくのびのびと育って欲しいなということを願うばかりです。